離婚をされる前に確認

(離婚の方法)
Q 離婚の方法には、どのようなものがありますか。
A 主なものとしては、当事者の協議による合意の上、離婚届を市町村長に届け出る協議離婚、家庭裁判所の調停手続により調停を成立 させる調停離婚、離婚しようとする者が離婚の訴えを家庭裁判所に提起し、確定判決を得る裁判離婚があります。
(協議離婚)
Q 協議離婚は、どの時点で効力を生じるのですか。
A 戸籍法による届出が受理されて初めて効力を生ずる要式行為です。
(離婚給付等契約)
Q 離婚に関する公正証書は、どのような条項から成り立っているのですか。
A 公証人が作成する離婚に関する公正証書を離婚給付等契約公正証書といいますが、通常は、離婚の合意、親権者と監護権者(監護権 者とは、子の監護養育をする者で、親権と分離して別に監護者を定めない限り、親権者が当然監護養育すべきことになります。)の定 め、子供の養育費、子供との面会交流、離婚慰謝料、離婚による財産分与、住所変更等の通知義務、清算条項、強制執行認諾の各条項 が入ります。
(養育費)
Q 養育費とは、何ですか。
A 未成年の子があるときは、親(離婚する夫婦)のどちらかが親権者となりますが、それとは別に、双方の財産や収入の状況により、 子を引き取って養育する親に対して、他方の親から子の養育の費用として給付されるのが養育費です。なお、未成年子本人も父母に対 して扶養料の請求をすることができます。親は、未成年子に対して扶養義務を負っているからです。
Q 養育費の算定は、どのようにするのですか。
A 親は子が親と同程度の生活ができるように費用を負担しなければなりません(生活保持義務)。ですから、考え方の基本としては、 子が支払義務者と同居していたと仮定すれば、このために費消されていたはずの生活費がいくらであるかを計算し、これを義務者と権 利者の収入の割合で按分し、義務者が支払うべき養育費の額を決めるということになるでしょう。
Q 養育費は、流動的な面があるそうですが、どういうことですか。
A 養育費は、そのときどきの子の生活を維持してゆくのが目的ですから、離婚後における親や子に関する事情が変わると、これに応じ て、その額や支払の方法等が変動する余地があります。その意味において、養育費は流動的です。
Q 養育費については、取決めの際に、一切は解決済みである旨の条項を加えておいても意味がないのですか。
A その時点における合意の趣旨を明らかにしておく意味はあります。ただ将来事情の変動があっても給付に ついての変更を一切しないという効果まではないということです。
Q  どんな条項になるのですか。
A 養育費の支払条項に続けて事情変更による協議の必要性を規定した条項が入ります。 第○条(養育費)
1 甲(親)は乙(他方の親)に対し、丙(子)の養育費として、平成○○年○月から丙が満20歳に達する日の属する月まで、 1か月金5万円の支払義務のあることを認め、これを毎月末日限り、乙の指定する金融機関の預金口座に振り込んで支払う。振込手数料は甲の負担とする。
2 当事者双方は、丙の進学、病気等による特別の費用の負担については、別途協議するものとする。 あるいは、上記第2項の代わりに、次のような条項が入ります。
( 2 将来、物価の変動、甲又は乙の再婚、失職その他の事情の変更があったときは、甲と乙は、丙の養育費の変更について、誠実 に協議し、円満に解決するものとする。)
Q 「22歳に達した年の3月まで」養育費を払うとの合意は無効ですか。
A 「子の監護について必要な事項」(民法766条1項)としての養育費の支払は、親権が終了する子の成年に達したときまでに限ら れるとの見解もあるようですが、大学進学は特別のことではなくなりましたし、実際問題として子の大学進学を予定して大学卒業時ま での養育費を定めたいという親が多くなっていることからみて、このような合意は有効と思われます。
(面会交流)
Q 面会交流は、どのような条項ですか。
A 例えば、「乙(親権を持つ方の親)は、甲(親権を持たない方の親)が丙(子)及び丁(子)と面会交流することを認める。面会交 流の具体的な日時、場所、方法等は、甲と乙が、丙及び丁の福祉に十分配慮しながら協議して定めるものとする。」などです。
(離婚給付)
Q 離婚給付とは、何ですか。
A 離婚に伴う財産分与と慰謝料を合わせて、離婚給付といいます。
(慰謝料)
Q 離婚の慰謝料とは、どういうものですか。
A 離婚について責任のある側が他方に支払う損害賠償です。
Q 夫と妻の双方に責任があるときは、どうなるのですか。
A 離婚について主として責任のある方が、損害賠償の責任を負うことになると考えられます。
Q 慰謝料の額は、どのくらいですか。
A 慰謝料は、精神的苦痛に対する損害賠償ですから、ほとんどあらゆる事情が考慮されるといってよく、いわゆる相場を見いだすこと は難しいのが実情です。事案ごとに常識を持って適宜適切に判断するほかありません。
(財産分与)
Q 財産分与とは、どういうものですか。
A 婚姻中に夫婦の努力によって形成された財産の清算です。
Q 離婚後に一方が生活に困窮することが予想されるときに、これを支援する趣旨で他方が行う金銭等の給付は、何に当たるのですか。
A それも財産分与に含まれます。
Q 財産分与には、慰謝料的な要素もあると聞きましたが。
A そのとおりです。
Q 慰謝料と財産分与との関係はどうなるのですか。

A 財産分与の中に慰謝料を含めて請求してもよいし、慰謝料のみを請求してもよいのです。
Q 住宅ローン付き不動産の分与については、何に注意したらよいですか。
A 婚姻中に住宅ローンにより夫名義で取得したマンション等の不動産を、離婚に当たり、妻子の居住の必要等から妻に財産分与として 譲渡する例が多いのですが、ローンの残額を夫がそのまま支払っていくという約束の場合に、約束どおりローンの支払をしないと、妻 としては、自らの負担で支払をするか、それができなければ住むべき不動産を失う危険があります。 そこで、公証人が公正証書を作成する場合、このような妻側の不安を取り除くため、当事者からよく事情を聴いた上、公正証書に記 載する契約条項をいろいろ考慮することになります。 また、ローン債権者銀行は、不動産の名義変更をローン債務の期限の利益(期限まで弁済を猶予されるという利益)喪失事由とする 約款を定めているのが通常です。その約款がある場合、抵当不動産を財産分与で譲渡して所有権移転登記をし、かつ、ローン残額の一 括返済を避けるには、事前に銀行の承諾を得る必要があります。しかし、分与を受ける当事者に資力があるというようなごく例外的な 場合を除けば、銀行は承諾しないことが多いようです。 ですから、先ほどの例でいうと、夫としては、不動産の名義を離婚時に妻に変えてやりたくても、それが事実上できない場合がある のです。この場合には、夫が他に不動産を譲渡し名義を変更すると、妻は譲受人に対抗できないことになります。したがって、夫から 妻への所有権移転登記は債務完済後にすることとし、離婚時には仮登記をつけておくことが考えられます。 以上は一つの例にすぎませんが、住宅ローン付き不動産の分与については、いろいろ困難な問題が生じるおそれがあります。
(財産分与と税金)
Q 財産分与を受けた側は、税金がかかるのですか。
A 離婚による財産分与又は慰謝料として取得した財産は、贈与により取得したものでありませんから、贈与税は課せられません。一時 所得として所得税が課せられることもありません。ただし、その分与に係る財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その 他一切の事情を考慮してもなお過当であると認められる場合における当該過当である部分又は離婚を手段として贈与税若しくは相続税 のほ脱を図ると認められる場合における当該離婚により取得した財産の価格は、贈与によって取得した財産となります(相続税法基本 通達9条98)。 しかし、不動産を財産分与等で取得した者は、所有権移転登記を行おうとする場合は、登録免許税及び不動産取得税が課せられます。
Q 財産分与をした側は、どうですか。
A 財産分与は、不動産等の資産を無償で譲渡するものですが、資産の譲渡である以上、譲渡する資産の譲渡時の価格が取得時の価格を 上回っているときは、分与する配偶者に対し、増加分について譲渡所得税が課せられます(ただし、特別控除の制度があります。)。 これを知らないで財産分与の合意をしたときは、錯誤により無効になることもあり得ます(最高裁判決・平成元・9・14家裁月報 41・11・75)。
(財産分与と退職金)
Q 将来支給される見込みの退職金も財産分与の対象になりますか。
A 退職金には給料の後払いの性格があることから、給料とほぼ同視することができ、夫婦の協力によって得られた財産とみることがで きますから財産分与の対象になり得ます。 ただし、退職金は将来支給が決定されるものですから、その分与方法については、いろいろな考え方があります。
(離婚時年金分割制度)
Q 離婚時年金分割制度とは、どういうものですか。
A 平成19年4月1日から、厚生年金等について離婚時に年金受給権の分割をする制度が導入されました。 この制度は、離婚する夫婦の年金受給の格差を是正するため、厚生年金の報酬比例部分(老齢基礎年金に上乗せされる老齢厚生年金) の年金額の基礎となる「標準報酬」について、夫婦であった者の合意(合意ができないときは裁判)によって分割割合(請求すべき按 分割合)を決め、夫婦であった者の一方の請求により、厚生労働大臣が標準報酬の決定を行う制度です。これを合意分割制度といいます。 この制度の適用を受けるのは、平成19年4月1日以後に離婚した場合であり、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録が分割されます。また、請求すべき分割割合は、法律で一定の範囲(上限は50%)に限られていますので、最寄りの年金事務所に相談するとよいでしょう。この分割割合の合意は、公正証書によるか、又は当事者の合意が必要とされていましたが、 平成20年4月1日からは、当事者双方がそろって(代理人でも可)合意書を年金事務所に直接提出する方法でもよいことになりました。 また、平成20年4月1日から、いわゆる第3号保険者期間についての厚生年金の分割制度が始まりました。これを3号分割制度といいます。この制度の適用を受けるのは、平成20年4月1日以後に離婚した場合であり、婚姻期間のうち、平成20年4月1日以後 の第3号被保険者期間中の厚生年金の保険料納付記録が分割されます。分割の割合は、2分の1すなわち50%と一律に決められてい ます。したがって、平成20年3月31日までの分については、合意分割制度によることになります。もっとも、平成20年4月1日 以降の分も含めて婚姻期間全体について合意分割を行うこともできます。その場合、平成20年4月1日以降の分につき2分の1であるとみなして全体の分割割合を算定することになります。
(通知義務)
Q 離婚後も双方の住所や勤務先の変更などを通知し合う必要があるのですか。
A 養育費等の支払、子との面会交流、双方の協議などをスムーズに行うためには、双方の住所、勤務先などを知っておく必要があります。
(清算条項)
Q 清算条項とは、何ですか。
A 清算条項とは、当事者間に、証書に記載した権利関係のほかには、何らの債権債務がない旨を当事者双方が確認する条項です。
(強制執行認諾)
Q 養育費と離婚給付の給付を確保する方法として、公正証書の利用があげられると聞きましたが、どういうことですか。
A 公正証書には、契約などの行為について、法律的な観点から将来トラブルが起きないように内容を整理して記載をします。 そして、金銭の支払についての合意と債務者が強制執行を受諾した旨を公正証書に記載すると、支払が履行されないときは、強制執行 が可能です。そこで、このような公正証書の作用を、養育費と離婚給付について活用することができます。
Q 養育費については、平成15年の民事執行法の改正により保護が厚くなったと聞きましたが、どんな点ですか。
A 養育費の一部が不履行となった場合には、期限が到来していない債権についても強制執行できるようになりました。また、差押禁止 債権の範囲も通常の債権(4分の3)と異なり、2分の1と減縮され、従来よりも強制執行がし易くなりました(民事執行法151条 の2,152条3項の新設)。
Q 金銭以外の財産の給付の約束については、どうなるのですか。
A 公正証書によって強制執行をすることはできません。しかし、万一履行がなされないときは、訴訟を起こせば、容易に勝訴すること ができます。
(間接強制)
Q 養育費などについて間接強制ができるようになったそうですが、どういうことですか。
A 養育費等の扶養義務等に係る金銭債務については、平成16年法律152号(平成17年4月1日施行)により、先ほど述べた直接強制の方法によるほか、間接強制の方法によっても行うことができることとされました(民事執行法167条の15第1項本文)。間 接強制とは、債務者が債務を履行しない場合に、債権者の申立てにより、裁判所が債務者に対し一定の金銭の支払いを命ずることにより債務者に心理的強制を与え、債務者の自発的な履行を促す制度です。具体的には、執行裁判所が、債権者の申立てにより、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の金額を債権者 に支払うべき旨を命ずる方法によることになります(同法172条1項)。
Q 債務者に債務を弁済する資力がないのに間接強制の決定がなされる、あるいは、債務者にとって過大な間接強制の額が定められる、 というようなことはありませんか。
A そのようなことがあると、いたずらに債務者の支払うべき金額が増加し、過酷な結果が生ずることが懸念されます。そこで、債務者 が支払能力を欠くためにその金銭債務を弁済することができないとき又は弁済することにより生活が著しく窮迫するときは、間接強制の決定をすることができないものとし(同法167条の15第1項ただし書)、いったん間接強制の決定があっても、事情の変更があったときは、債務者の申立てにより、その申立て時までに遡って間接強制の決定を取り消すことができることとしています(同条3項)。 さらに、間接強制の決定をするに当たっては、適正な間接強制金の金額が定められるように、債務不履行により債権者が受けるべき不利益や債務者の資力、従前の債務の履行の態様を特に考慮しなければならないとされ(同条2項)、また、間接強制の決定をする場合には、相手方である債務者の審尋をしなければならないとされています(同法172条3項)。 さらに、扶養義務等に係る金銭債権が定期的債権である場合には、その保護の必要性が高いことを考慮して、その一部に不履行があるときは、将来6月以内に期限の到来するものについても、一括して間接強制の申立てをすることができることとしています(同法1 67条の16)。 なお、この制度については、特に経過規定が設けられていないので、改正法の施行日である平成17年4月1日以前に成立した扶養義務等に係る公正証書等の債務名義についても、強制執行の申立てができます。

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